燃~~えろよ燃えろ~~~よ~~~♪
・・・おっと、失礼しました。某IT業界で働く者です。
今回機会を得まして、こちらで執筆させていただく事となりました。
業界の伝統の灯を絶やさぬよう、炎を守っていきたいと思い、こちらを書かせていただきます。
SES業界で欠かせない人といえば、当然、「エンジニア」です。
エンジニアがコードを書く、IT関連のモノを作り上げる、それこそがSESの究極の本質的目標ですから、エンジニアが中心であるという事実、そこは揺るぎません。
他方、「営業」という職種もまた、このSESという業界には欠かせません。
SESというものは1つのアウトソーシングで、開発リソースを外部に頼るものですが、それを「請ける側」であるSES業者にとっては、その発注者が嫌がった「エンジニアを自社に囲い込む」ということをそのまましているわけですから、いかにこのリソースを無駄にしないかが最も重要となります。
その重要なミッションを担うのが、営業なのです。
営業としての役割を、エンジニアが兼ねている事も少なくはありません。
業界で中心となるのはエンジニアですし、知識の面からしても、エンジニアが自分でやったほうが良い面も多々あります。
しかし、やはりエンジニアと営業とで様々な事が異なりますので、それぞれ特化したプロフェッショナルを抱えているのが、多くの拡大していくSES企業です。
理想形は、エンジニアと営業がお互いに信頼しあえるだけのタッグを組んで、相互に補完して、チームワークとして良い案件を決めていくことが望まれます。
とはいえ、現実はそう甘いものでもありません。
ハブとマングースが戦うように。
龍と虎は戦わずにいられないように。
嫁と姑の飽くなき人生を賭けたバトルのように。
エンジニアと営業もまた、熾烈な争いを繰り広げるのです。
ここではそんな、エンジニアと営業との争い、いがみあいといったドロドロの内幕を、白日の下に晒していきたいと思います。
目次
エンジニア、という仕事と気質
エンジニアとはシステムエンジニアのことであり、その中でも現在では様々に分類されるとはいえ、基本的にはざっくり言えば「パソコンとかその周辺機器を扱う」とか「プログラミングする」といったようなものです。
これは極めて専門的な分野で、言うなれば「職人」と言ってしまってもよいような、専門技能の世界です。
エンジニアは「パソコンおたく」とニアリーイコールだったりもします。
現在では、あくまでも仕事としてプログラミングその他を学んだ、というような人も少なくありませんが、かつてはそれがほとんどで、そして現在でもトップレベルのスキルを持つ人は、間違いなく「パソコンおたく」に分類されるような人たちだと思います。
かくいう筆者の親友も凄腕エンジニアですが、皆がちょうど大きく盛り上がっていく最中だった家庭用ゲームに勤しんでいた時代に、BASICやCのコードを書いて遊んでいたような猛者です。
何が楽しいんだそれ?と思いますが、それを楽しめるような人だけが、比類なき次元のエンジニアになれるのです。
また、現在でこそエンジニアとしてイメージするのとは程遠いようなオシャレ女子でエンジニア、なども存在しますが、かつてはもう、それはそれはアキバ系もかくやというくらいに、あまりにも濃いおたく系でした。
したがって性格は極めて内向的、コミュニケーションは実に苦手、ファッションなどは全く興味が無いか極端に偏ったジャンル、多人数でいるよりは少人数を好む、という特有の気質を持っています。
言うまでもなく個人差が強い上に、現在ではかなり薄まったと感じていますが、それでもまだ、エンジニアにはこういった特有の「おたく気質」があり、癖が強い人が多いのです。
営業、という仕事と気質
営業という仕事は、ほとんどの業種に存在するものです。
もちろんその中で細分化はあるにしても、ざっくりと「自社のモノを売ること」が目標であり、これはエンジニアの真逆で、専門性は極めて乏しいジャンルになります。
そのため、会社によっては「新入社員はまず営業を経験する」などとりあえずの修行に使われたりもしますし。「専門性が極めて乏しいことが特色」という皮肉な結果によって、何にでもなれそうでいて実は何にもなれず、結果として「とことん営業畑」という専門人材が多く存在しています。
特殊技能がほとんど存在しないが為に転職時は往々にして営業職にしか転職できず、そういった営業一筋のキャリアの人がたくさんいるが故に採用時はそういった人が優遇され、結果的に「専門的に分かれた職種」となるという、なんだか「裏の裏は表」みたいな経緯で専門性が高まります。
専門知識がほぼ無く、しいていえば自社製品、売るモノの知識こそが専門知識となる営業にとって、様々な細かい技能はありますが、究極的には「コミュニケーションと感性」こそが求められる職種、と言えます。
そのため営業にはコミュニケーションが好き(注:必ずしも”得意”ではない)な人が圧倒的に多く、そういう人が向いていて、気質としては極めて外向的です。
外向的でコミュニケーションが好きということは、ファッションなどにもある程度の興味があり、少人数でいるよりは多人数を好みます。
多人数の中では癖が強いとやり玉にあがることが多いこともあり、最大公約数を選びがちで、大衆的な人が多い、という感じがします。
第一ラウンド・トラvsライオン
これまで紹介してきたような気質をあらためて振り返れば、
エンジニア:内向的、専門知識あり、コミュニケーション苦手、少人数を好む
営業:外交的、専門知識なし、コミュニケーション得意、多人数を好む
とこのように、はっきりと真逆です。
水と油です。白と黒です。陰と陽です。一応皮肉のつもりはありません。キャとか付けてはいけません。
このような気質では、合うわけがありません。
単独で動くトラのようなエンジニアと、群れを形成して高度に社会的な行動を見せるライオンのような営業。
お互いに相手を好きなわけもなく、協力できるわけがないのです。
外向的か内向的か、は、本来良し悪しで言えるものではありませんが、しかしヒトは群れる生き物という前提もあって、どうしても「外向的なほうが良い」とされがちです。
ここは営業に軍配が上がります。
専門知識のあるなしは、これはもう言うまでも無く、あるほうが優れています。
営業?そんなの誰でもできるだろ。実際にエンジニアが営業も兼ねてる事あるじゃん。逆にエンジニアも兼ねられる営業専門の人がいるならやってみろよ。
そんなエンジニアの声が今にも聞こえてきそうです。
コミュニケーションは、外向的かどうかとも少し重なってしまうのですが、これはもうエンジニアサイドは「苦手」ですから、営業の逆襲です。
エンジニアが営業を兼ねたって、結局ろくなコミュニケーション取れてないじゃんか。俺ら営業には全然及んでない、それは兼ねられるなんて言えないよ。
そんな営業の声が、ほら耳をすませば、聞こえてきませんか?
多人数を好むか少人数を好むかは、良し悪しでは言えません。
しかし多人数の中に埋没するような営業気質は、没個性に直結しますので、群れ単位で判定するならまだしも、個人vs個人で見た時には、没個性では勝てません。
ここはエンジニアに軍配が上がるでしょう。
さぁ、現在のスコアは2-2です。
盛り上がってまいりました。
第二ラウンド・エンジニアが営業を斬る!
営業ってなんかいつも偉そうにしてますよね。
でも、SESで中心になるのは我々エンジニアなんですよ。
業界にエンジニアしかいなくなってもまわるけど、営業しかいなくなったらまわらないですよね?
必要なのは我々がコードを書いたり機器を設置したりすることなんですよ。
結局のところSESでエンジニア以外の人というのは全て中抜きをする存在でしかなくて、我々エンジニアが我々のスキルによって確保した単金を、彼らはピンハネするだけの存在なんです。
ピンハネするだけであってもそれならそれで、きちんと仕事をしてくれるならまだ構いません。
エンジニアの為を思って動いて、努力して、足りないながらも知識をつけて、そうやっていくならまだ許せます。
でも一部の営業は「自分達には技術的な知識は必要ない」みたく開き直っていて、自分の無知や勉強不足を棚に上げて、ふてぶてしいですよね。
まがりなりにもITの業界で営業やるなら、ただ単語を覚えるだけじゃなくて、コードの1つも書いてみればいいんです。それをやって初めて、エンジニアが普段どういう努力をしているか、身に染みて分かるというものでしょう。
それなのにやつら営業ときたら、頭の悪そうなパリピ丸出しでウェイウェイしているばっかりで、人を物のように扱いやがって、けしからん存在なんですよ。
頭が悪いくせにエンジニアを下に見るんですから、勘違いも甚だしいってやつです。その勘違いがばれてないとでも思うんですかね?
たまにはコードの1行でも書いてみろ、現場参画してみろ、って感じです。
第三ラウンド・営業がエンジニアを斬る!
エンジニアってなんであんなにコミュ障なんですかね。
ヤツらはスキルはあるのかもしれませんが、他の部分が欠落しすぎていて、会社員として、いや社会人としての最低限のマナーとか常識も無いんじゃないかと疑う事もあるくらいですよ。
あいつらはいつも自分の考えを曲げようとせず、協調性が無く、そのくせすぐ勤怠不良になったり、まったく扱いにくい人間ばかりです。
「コードが書ければ他は何やってもいい」って勘違いしてるんじゃないですかね?あくまでも会社の一員、複数人が動くプロジェクトを構成するメンバーなんですから、協調性が無くていいわけがないじゃないですか。
それと、営業のことも下に見ているのが明らかです。
あの連中はコードさえ書ければ偉いと思ってるようですが、世の中の人が皆コードが書けたら、自分達は社会性・協調性の無さで一切の仕事がまわってこなくなるってこと、分かってるんですかね?
大工の人が、家を作るような時に偉そうでもまだ我慢できますが、その他の雑談でもお店でもずっと偉そうにしてたら、腹立ちますよね?
何か1つできることが、すべてにおいて偉いわけがないじゃないですか。
営業のことだって、なめすぎです。
「営業なんて誰でもできる」みたくなめてますが、営業のノウハウってむしろ教科書を学べばできるようなプログラミングみたいな単純な話じゃなくて、合理性だけでは片付けられない奥深さがある、本当に長年のコツが求められるようなものがあるんです。
かと思えば、数字の責任を負ってそのためにストレスがかかってもひたすらトライしてみなければならなかったり、よそから見て思うほど簡単なものじゃないんですよ。
テレアポの1つでもやってみろ、新規開拓1つでもやってみろ、って感じですよね。
最終ラウンド・陰口の叩き合いの果てに
ここまで、それぞれの立場での気質や言い分などを見てきました。
客観的にその言い分や対立の構造を眺めれば、これはもうまっぷたつに割れていて、仲良くなれそうもない、といった感じです。
とはいえ、彼らは同じ会社の一員として、協力しなければならないところがあるのも間違いありません。
ですから、正面きって喧嘩になることはほとんどありません。
が、心の中では軽蔑しあっていて、お互いのコミュニティの中では、ひたすら陰口を叩くのです。
こんないがみあいがあって会社が上がっていくか、業界がより良くなっていくかと言えば、そんなことは決してありません。
この対立の構図の問題は、いわば業界全体の問題でもあると思っています。
両者を含めて彼らに総じて足りないことは、「相手への尊重と敬意、そして歩み寄る姿勢」だと思います。
エンジニアも営業も、お互いに相手の本領発揮となる分野での仕事は、十分にはできません。
その「自分ができない事をできる」といった部分に、もっと敬意を払い、相手を素直に褒め称えるべきなのです。
自分ができることを相手ができないから、ではありません。自分ができないことを相手ができる、その部分を認めるべきなのです。お互いに。
そして「自分はその役割ではない」と切り捨てないで、お互いに歩み寄るべきなのです。それこそが「協調性」というものであり、その体験が自分にとっても新たな価値観を生むような、貴重な経験になります。
営業であれば、技術的な知識を得るのはもちろん、コードを書くでもなんでも、実際にやってみるべきです。
エンジニアであれば、テレアポでも新規の打ち合わせでも、自分でやってみるべきです。
最初から出来るわけもない、そんな当たり前の結果を通して、相手がしていることへの尊重を新たにしていけるのです。
そうして、相手が自分の得意なことを、まだまだダメダメでもトライしてくる姿勢を見れば、悪い気はしないはずです。
お互いに相手の得意な領域を切り捨てて、まったく違う土俵で勝負して、自分の強いところでだけ偉そうにせず、自分の弱いところでの相手の強さを素直に認め、お互いを称え合う。
これができてこそ、エンジニアと営業の関係はより強固になり、営業はよりよい案件にアサインでき、よりよい活躍をエンジニアもできるのです。会社としての業績も評価も上向いていくでしょう。
けなしあう姿勢から、称え合う姿勢へ。
自分に出来ない事ができる相手を、素直に褒め称えて、より良い関係へ。
ひとりひとりの関係が良くなることで、業界全体が良くなっていくことを願って、筆を置きたいと思います。
お読みいただき、ありがとうございました。
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