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SESはエンジニアを搾取するやばいブラック業界?その実態

  • 投稿カテゴリー:SES

昨今ますます需要が増えているシステムエンジニア。

世の中の様々なものがIT化していく中で、開発は増える一方、それにあわせてエンジニア需要は増すばかりです。

また、エンジニアを目指す人も増えており、ITバブル時代や、GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)のようなブルジョワジーなITエンジニアの姿への憧れだけではなく、より堅実に手に職をつけるといった意味合いでエンジニアを志向する人も増えています。

エンジニアと一口に言っても様々な働き方がありますが、今回はその中でも準委任の業務委託、いわゆるSESについてお話しします。

SESとは?

SESとはSystem Engineering Serviceの略であり、この単語だけを拾うと意味が広範になりますが、主に業務委託契約(準委任)という形態に対して使われます。

これは業務委託の一種ですが、請負つまり開発の成果物をもって対価とする形態とは違い、開発の労働力そのものを対価として提供するものです。

一般的に「SES」と言った場合、それを業として行う企業のサービスを指しますので、準委任契約でフリーランスがエンド企業(実際に開発案件を発注する企業)と契約する形は、あまりSESとは言いません。

エンジニアの視点から見れば、どこかのSES企業に就職し、そのSES企業の指示によって、どこかのエンド企業の開発案件に加わる事になります。 SESという形態は実際に開発を行う労働場所は必ずしも縛られませんが、一般的にはエンド企業側でそれをする、いわゆる「客先常駐」という形になります。

SESは偽装派遣の違法行為じゃないの?

「SES契約は、派遣契約でやらなければならないところをSES契約でやっている「偽装派遣」で、不法行為である。」

こう断言する人もいます。

それが実際のところどうかと言えば・・・・合法も不法もどちらもある、というのが正直な答えです。

合法なパターンでは、きちんと「派遣契約」と「業務委託契約(準委任)」との違いを守ります。

その最大の例は「指揮系統」で、派遣契約はエンド企業が指揮をするのに対し、準委任契約ではSES企業が指揮をします。

実質の依頼は発注元であるエンド企業から出ている以上、これはただの迂回にも見えるかもしれませんが・・・実はその裏に大事な要素として「労働契約」というものがあります。

派遣契約の場合、労働契約はエンド企業とエンジニアの間で結んでいることになりますが、SES契約ではあくまでもSES企業との間です。

これは、エンジニア本人の身を守る時に大きな違いとなります。

派遣での労働というものは、エンド企業が「本来だったら雇用するところだけれど、無期雇用して抱え込みたくない」という思惑もあります。

ですから多くの場合において、雇用契約そのものは有期契約、つまり非正規雇用となっていて、何かあればいわゆる雇い止めの派遣切りで、労働者を切り捨てることができます。

SESでもエンド企業の「無期雇用して抱え込みたくない」というのは同じなのですが、多くのSES企業はエンジニアを無期雇用していますので、ここが最大かつ決定的な違いとなるのです。

そして指揮命令の権限は派遣の場合はエンド企業にあるのですから、エンド企業は自分の好きなようにエンジニアを使えてしまいます。

悪い言い方をすれば、散々こき使った挙句に必要が無くなれば切り捨てる、このような形が可能になってしまうのが有期契約での派遣なのです(派遣の全てがそういうひどいものではありませんが)。

対するSESの場合、指揮命令の権限がエンド企業にありませんので、そもそも自社の社員のように好きなように使うことはできません。

そしてエンド企業が切り捨てたとしても、エンジニアはSES企業には所属したままですし、案件から外れてしまって何の案件にもついていない、いわゆる「空き稼働」となってしまっても、SES企業の雇用と給料は守られます。

こういった点から、SESが必ずしも「不法な目的の為に派遣ではない形を取っている」わけではないのです。

脱法ブラックの塊、多重下請け構造

しかしSESで不法まがいなパターンの最たる例が、多重下請け構造です。

これはITゼネコンとも呼ばれる業界の悪しき慣習で、5次請け6次請けなどといった事が本当に実在します。

派遣契約では多重派遣は不法行為ですので派遣契約にはできず、そのため実態は派遣契約にも関わらず、SES、準委任での業務委託としている、という構図です(もちろんこの場合は偽装派遣行為にあたりますので、不法行為です)。

なぜこのような事が起きるかといえば、増え続ける開発案件とエンジニアの需要に対して、エンジニアの供給が足りないということが1つの要因です。

大きな企業になるほど、よほど信用のおける相手でもない限り、基本的に個人とは契約は結びません。

これは何か問題があった時に、個人ではその損害を賄えないからです。

そのため、開発の人数が必要になっても、フリーランスを気軽に招き入れることはできません。

大企業は直接取引をする相手にも信用情報を求め、あまり信用力の無い会社とは取引をしませんので、どこか特定の会社に依頼をする事になります。

しかし、例えばエンジニアが10人必要、と依頼をしたところで、その会社が常に(しかもその特定の分野の技術を持った)10人の手が空いているとは限りません。

そこで、その10人を揃える為に、他の会社に依頼をかけるのです。

しかし他の会社も自分の所に所属しているエンジニアの手が空いているとは限りません。

その場合、その仕事を更に他の会社に投げる、これを中間マージンを取りながら行うため、多重下請け構造が発生します。

ひどい多重下請け構造になると、自社のエンジニアがどこのエンド企業のどんな開発案件に参画しているか知らない・・・などということまで発生します。

多重下請けは当然、金額も大きく目減りします。

エンド企業が例えば月額100万円で発注しているのに、A社はそれを80万円でB社に発注し、B社はC社に60万円で発注し、C社はD社に40万円で発注し、D社はE社に30万円で発注し、E社の所属エンジニアが自分は月給を25万円もらいながらエンド企業で働く・・・などということになるのです。

当たり前ですがエンド企業は100万円分の仕事を求めますが、労働者本人としては25万円分の仕事という感覚なのですから、もうここには悲劇しかありません。

この多重下請け構造で最もまずい事は、20万円ずつ中抜きした形のA社、B社、C社、それに10万円中抜きしたD社がいることです。

間にこれだけ挟めば当然伝言ゲームと同じ状態ですから、正しく情報が伝わっていくのも難しくなり、結果的にE社の営業担当者も労働者本人もあまり何も分からずに指定された場所に行く、などという事にもなります。

他の各社、特に真ん中にだけ入るB社、C社、D社にとっては当事者意識がありませんので、ろくに現状を確認もしません。 このような多重下請け構造になれば、不法行為でブラックだ、と言われても当然です。

SESにはブラックな多重下請けしかないのか

SES業界は誰もがひどい多重下請けかといえば、そうではありません。

既に書いた通り、そもそもに多重下請けの原因になるのは「エンジニアの手が足りないこと」があるのです。

ですから上の例で言えば、最初に受注したA社が受注した分の人数を全て自社で賄えれば、他の企業に発注する必要などないのです。

しかし実際に常に全て自社で賄うのは、かなり大きなSES企業でも難しいのが現実です。

それは、「エンジニア」とは全てひとくくりに同じ技術を持っているわけではなく、レベルだけではないジャンルがかなり多岐に渡るからです。

その時求められるその技術を満たしたエンジニアがそのタイミングで空いていなければならず、これはなかなか難しいのが現実なのです。

ただ、それで外に発注するからといって必ずしも多重下請けのブラックな構造とはなりません。

ポイントとなるのは「チーム化」です。自社のメンバーでは足りないものを、他の協力企業とタッグを組んで、チームとして受注するのです。

この形の場合は、際限なく続く多重下請けといった形にはなりません。

始めに受注した企業がいて、そこが協力を求める企業が何社か存在するだけ、となります。

きちんと「チーム化」を進めるような企業は自社の社員の教育にも熱心ですし、きちんとした会社同士の関係の中でチーム化を行えば、チームワークも上がっていきます。

真ん中にだけ存在するような会社も生まれませんので、当事者意識や責任感が乏しくなることもありません。

それでもSES企業はエンジニアからピンハネしているのでは?

たとえ多重下請けが無かったとしても、SES企業はエンジニアをどこかに送り込んで、その労働による報酬のピンハネだけしているのではないか、という意見もよくあります。

これに対する答えは、先に書きました派遣契約との違いでもある「雇用・給料の保証」が1つあります。

そしてもう1つが、「営業・管理部分のアウトソース」という考え方です。

例えばフリーランスで受注することを考えてみましょう。

どこかのエンド企業が100万円で発注した仕事をフリーランスで受ければ、エンジニアに100万円がそのまま入ってきます。

SES企業に所属している場合、そのSES企業の取り分が必ずありますので、たとえ5万円くらいだったとしても、必ず減ります。

ここだけを見れば、なるほどピンハネにも見えます。

しかしフリーランスで実際に仕事を受けることを想像してみてください。

まず、どこから仕事をもらってくるか、です。既にエンジニアとして名声や人脈を確立していればここで苦労はしませんが、そうでない場合、まずそもそもに仕事をもらえません。

既に書きました通り、大きな企業では、個人には信用力の問題で発注しない事も多々あるのです。

既存の知り合いから勝手に仕事が入ってこない限りは、営業活動をしなければなりません。

テレアポだったり訪問したり、この営業としての活動を、フリーランスの場合そのエンジニア自身がしなければならないのです。

なんとか仕事を受注できたとして、業務委託契約で仕事をする場合、企業から勝手にお金が毎月振り込まれるわけではありません。

請求書を送付しなければなりませんし、入金の確認もしなければなりません。

さらに、個人事業の場合は自分で申告・納税をしなければなりません。

SES企業であれば源泉徴収も年末調整も全てやってくれていたものが、フリーランスでは全て自分でやらなければなりませんので、経理の知識から税務の知識まで必要です。

税理士を雇って丸投げしてしまえば多少はアウトソースできますが、それで全てにはならない上に・・・結局これはSES企業の「ピンハネ」分よりも高くつく可能性もあります。

ですから、企業に所属することは「営業やバックオフィスの仕事を外注している」とも言えるのです。SES企業は(上に書いたひどい多重下請け構造でない限りは)決して何もしていないわけではありません。

ブラックではないSES企業の見抜き方

最後に、ブラックではないSES企業の見抜き方をご紹介します。

まず、エンド直と言われる、開発案件の発注元エンド企業と直接取引のある企業。

これは、ここに所属していれば多重下請けの構造になる可能性は乏しくなりますので、エンド企業との取引が多くあればあるだけ、エンジニアにとって安全でしょう。

ただしエンド直は会社の信用力も求められますし、エンド直をやっていないからといってブラックなSES企業とは限りません。

2次請け以降の場合、どういった取引が多いか、下請けに出すような取引があるかどうか、探ってみましょう。

2次請け以降の立ち位置で優良な企業であれば、純粋に下請けに出すような形はあまり取らず、どうしても足りない場合は紹介の形であったりチーム化などになっているはずです。

こういった取引の流れを担当者が把握していなかったり、誤魔化す場合も、要注意です。

SES業界はブラックだとよく言われますが、確かにブラックな環境と隣り合わせ、残念ながらブラックな会社も少なくない業界だと思います。

しかし上の例で挙げたB社C社D社にしても、エンド直であれば、あるいはエンド直のチーム化であれば、もっと自分たちの利益になるのです。

業界は必ず、もっと良くなれる余地があります。

ブラックではないSES企業はあります。

「SESはこんなもの」と諦めてしまわずに、エンジニアの為を思う優良なSES企業を探してみてください。

(※編集部注:本コラムは執筆者の個人の考えによるものです。当サイト・運営会社の見解ではありませんので、予めご了承ください。)

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