DX(デジタルトランスフォーメーション)とフリーランス

DX(デジタルトランスフォーメーション)とフリーランス

この9月に「デジタル庁」を発足したことにもあるように、国も力を入れる「デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation ; DX)」は、今やバズワードとして、ネットを賑わせています。
コロナの影響によって、よりDXの推進を急がなければならなくなった企業も多くあるでしょう。

そんな中、このDXの波で恩恵を受けているのが、IT人材やデジタル人材、Tech人材などと呼ばれる人たちです。これは、決してエンジニアのみを指す言葉ではなく、DXの分野に強みを持つコンサルタントなどもこの枠とされます。

またこの波で、世の中にはDX案件が溢れ、案件と人材をマッチングするプラットフォームや紹介業も乱立しており、それらの影響で案件獲得が容易となったことから、フリーランスエンジニアやフリーコンサルタントと言われるような方々も一気に増加しています。

そんな今流行の「DX」や「フリーランス」について、多面的に解説していきたいと思います。

DXとは

今やDXの意味を知らない人も殆どいないとは思いますが、背景も踏まえ、DXについて説明したいと思います。

■DXの定義

まず、DXを広義と狭義に分けて定義していきたいと思います。「デジタルトランスフォーメーション」という言葉は、スウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が2004年に発表した論文の中で、初めて提唱したと言われています。その意味は、「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向へと変化させる」というものです。

また、経済産業省は「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活かして、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義しています。

すなわち、DXとは、広義では「IT技術による社会の変革」を意味し、狭義では「IT技術による企業の変革」を意味するのです。
一方で、今の日本社会では、狭義の意味でのDXを言われることが多いので、以降は狭義の意味でのDXを前提に解説していきます。

■DXで取り組むべきこと

DXの意味が理解できたところで、「じゃあ企業としては何をしたら良いんだ?」という点について、大きく下記の4点に分けて説明します。

  1. ビジネスモデルの変革
    技術の飛躍的な進歩により社会が加速度的に変化していく中で、常に最適なビジネスモデルを取り続けるためには、最新の情報を鑑みた経営戦略や事業施策が必要となります。
    デジタルと経営が切り離せない社会になってきていることを考えれば、DX戦略のはじめの一歩が経営戦略や事業戦略そのものに関わってくるのも当然な流れでしょう。
  2. 顧客体験の深化
    情報が溢れる今日の社会では、消費者(顧客)の立場の方が強くなり、CX(カスタマーエクスペリエンス)を意識することが重要となってきます。
    技術の進歩や情報拡散の速度が速くなることに応じて、消費者の需要や嗜好性の多様化、そしてその変化の速さについていくには、常にデジタルを意識した顧客体験を実施していくことが必要です。
  3. オペレーション改善
    ビジネスモデルの変革に続き重要になってくるDX戦略の核が、オペレーション改善であり、且つ比較的取り組みやすい部分でもあります。ビジネスモデルの変革に取り組む前段階として取り組む企業も多くあります。
    具体的には、システム導入やRPA、AIの活用が挙げられますが、ただ導入するだけでは、DXではなく「ただのデジタル化」です。抜本的な見直し(改革)も含めたオぺレーション改善こそが、本物のDX戦略と言えるでしょう。
  4. レガシーなシステム・組織の改革
    日本の企業、特に大手企業ほど、レガシーなシステムによる技術的負債を抱えています。それを改革するためには、レガシーな組織からも脱却する必要があり、システムだけではない、根本的な改革が最重要課題となります。

DX案件・ニーズの高まり

以前に経済産業省が出した「DXレポート」によると、2025年には20年以上使用されている基幹システムが6割に達し、その保守・運用の費用がIT投資の9割以上になってしまうと推定されています。また、IT人材の不足も、2015年の17万人から43万人まで、約2.5倍まで膨らむと考えられています。

加えて、既存システムを保守・運用してきた世代が退職、システムそのものがブラックボックス化しているケースも多く見られ、システムの変更がそもそも難しくなっている場合があります。しかし、既存システムを変更せずに放置すれば年々その保守・運用コストは高騰していき、人材も割くことになるため、長期的にみると払う必要のないコストを払うことになってしまうのです。
大手企業や国・自治体等のIT投資の審査内容を見ると「A社で開発して運用してきたシステムなので、A社以外にこの追加開発はできないため、合い見積もりは取らない」なんていう内容が多くあります。結果、言いなりの金額・内容で開発をお願いするしかなく、更に暗闇へと突き進んでいくことになるのです。

かつての日本のハイテク産業は「高い品質」を差別化要因として高い競争力を保っていましたが、2000年以降ほぼゼロ成長。逆にグローバルなハイテク企業は圧倒的に高収益体制を実現しているのが事実です。
このように、日本のハイテク産業の遅れは、「いいものを作れば自然に売れる」という品質に対する神話を捨てられず、デジタル化が進んだことによって発生したビジネス環境の変化に、柔軟に対応できなかった事が大きな要因です。
デジタル化によって、生産者と消費者の両方に大きな変化が生まれました。水平分業化による製品の標準化によって、他国が品質面で追随してきたため、差別化要員を作る事が難しくなり、消費者行動の変化によって、「機能を豊富にしても商品が売れない」という状況に陥っていきました。こうした問題があるにもかかわらず、どこか慢心的に構えてしまっていたため、日本はDXにおいて他国と大きく差が開いてしまったのでしょう。

あらゆる産業において、新しいデジタル技術を用いた、これまでにないビジネスモデルが登場してきています。過去のアナログ時代のビジネスプロセスや組織にこだわっていては、日々急速なスピードで変化している現代社会を生き残ることは困難です。上述したように、確かに日本は現在DXにおいて、アメリカはおろか世界と比較しても大幅に遅れています。しかし、別の見方をすれば、これは「日本のDXは極めて伸びしろが大きい」と捉えることもできます。

実際、経済産業省がDXを促進し始めたり、神話を捨て、IT分野に力を入れ始める企業が増えたりしたことで、DX案件のニーズが高まってきています。今後も大幅な成長が見込める分野であることは、間違いないでしょう。

DX案件におけるコンサルタントの関わり方

DX案件においてコンサルタントが必要になるフェーズは、クライアントのニーズによって異なり、大きく分けて2段階あります。

まずは、戦略コンサルタントとして、企業の経営戦略におけるDX戦略を企画するフェーズです。
上述のように、DXとは単なる業務効率化の範疇に納まるものではなく、経営戦略の中核を担うものです。組織がデジタル改革を効率よく進めていくための活動を長期的に支援していくことが重要となってきます。
このフェーズにおいては、プログラミング知識やITツールを細かく理解している必要はありませんが、企業経営の実務経験や経営・戦略コンサルタントとしての実務経験(実績)と、DXを語るに十分な周辺知識は最低限必要で、デジタル関連のプロジェクトへのアサイン経験があると尚良いでしょう。

次に、ITコンサルタントとして、戦略に基づいて企業のデジタル化を支援するフェーズです。
既存のITシステムを脱却し、DXの根幹をなすITシステムの構築を支援します。より専門色の強い、技術者寄りの立場から経営戦略におけるDX戦略に関わります。
このフェーズでは、前者のような経営寄りの経験とは異なり、よりIT側の知見が必要になります。具体的には、インフラおよびネットワーク運用の経験は必須、puppet やchefなどの自動化ツールの経験、フロントエンドの知識などがあると尚良いでしょう。

ただ、ここに記載しているスキルについては、例として挙げているに過ぎず、DXの分野は日々変化(進化)しています。つまり、経験だけあっても、最新の情報へのアンテナや、それを理解するだけの頭が無ければ、成功に導けるコンサルタントにはなれませんので、悪しからず。

フリーランスの案件獲得

冒頭でも述べましたが、かつてはフリーコンサルタントとして活躍するには、「案件獲得」という高いハードルがあり、独立してもなかなか活躍できなかったのですが、今ではコンサル案件のマッチングプラットフォームが乱立し、自ら案件獲得営業をせずとも、お金を払えば(中抜きを許せば)案件が簡単に獲得できる時代になりました。「コンサル 案件」で検索すれば、たくさんのプラットフォームが出てきますので、そこに登録すれば、大抵のプラットフォームでは、担当のエージェントさんが案件探しのお手伝いから、面談同席などしてくれるので、活用しない手はないでしょう。

中には、多面的に独立の支援をしてくれるようなプラットフォームも多くあり、初めて独立する方は、そういったところで多面的に支援を受けながら、フリーコンサルタントとしての第一歩を踏み出せるため、そういった意味でも、フリーコンサルタントになるためのハードルは、大きく下がったといえるでしょう

また、DX案件においてシステム開発は不可欠です。エンジニアの人材不足が叫ばれる今、フリーランスエンジニアの需要も多方面で溢れています。同じく、プラットフォームでの案件獲得も上手に活用しながら、活躍の場を広げていけるチャンスです。

さいごに

ここまで読んでいただいた方の中には、「フリーコンサルタントになろう」と考えている方、考え始めた方、中には既に行動に移している方もいることでしょう。
フリーコンサルタントになること自体は、特段難しいことではありません。
しかし、そこでの活躍、その後のことも考えて、もっと現実的に考えることも必要だと思います。

上述した案件プラットフォームも、良く見ると、案件の内容は、単価100万円以下のPMやPMOの案件を「コンサル案件」と銘打っているものが殆どです。
また、プラットフォーマーもビジネスとしてやっていますので、一部を除いたほとんどのプラットフォームでは、契約の間に介在し、中抜きをします。
「未経験領域にも参画できる」なんて書いてはいても、そんなに甘いもんではありません。

大概のフリーコンサルタントは、大手コンサルファーム出身で、独立前に担当していたクライアントを、独立後最初のクライアントとして取引します。「ゼロからのスタートで実績を積み上げればなんとかなる」なんて、そんな甘い話ではないのです。

DX案件が溢れている今だからこそ、優秀なフリーコンサルタントの力を世の中が必要としています。だからこそ、この波が過ぎ去った後のことも現実的に考え、悔いのない選択をしましょう。


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